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クリエイティブ・オフィス 創造する組織を構築する

環境づくりのための4つの物語

クリエイティブ・オフィスで組織の力を高める 今日の厳しいビジネス環境を乗り越え、 将来にわたって事業を発展させていくために、 あなたの会社には何が必要でしょうか? 人・物・金・情報と言われる経営資源の中で、その筆頭に挙がる人的資源が関わる「組織の力」を高めることは重要な 課題でしょう。やる気をもった多様な人材が、協力しながら継続的に新たな価値を生み出していく。そのような組織と しての潜在力を引き出し、創造的な活動を促したいなら、クリエイティブ・オフィスは有効な方策です。クリエイティ ブ・オフィスは、オフィスワーカー同士の対話を促し、迅速な意思決定を助け、考える意欲を刺激します。そして、新 たな価値の創造とビジネスの変革を後押しします。実際にクリエイティブ・オフィスづくりに取り組んだ企業は、様々 な問題を解決し、新たな価値を生み出すための、独自の発想によるオフィス空間・情報技術・運用制度を構築していま す。それらの企業では、その新しい環境によって、経営者や社員をはじめとするすべての利害関係者のコミュニケーショ ンが活性化され、全員が生き生きと活動しています。 【対話】コミュニケーションの活性化 【価値】新たな知識の創造 クリエイティブ・オフィスと は、知識創造を促す行動を誘

クリエイティブ・オフィスは、人々の出会 いと交流を促します。そこでは、部門を超

価値 対話

発することによって、さまざ

えた対話と共有体験を通じて、個人が持つ 情報や暗黙知(文書化されていない知識)

まな役割・専門分野の知識と

が交換・共有されます。それらは、考える

経験を持ったメンバーの連携

材料であり、発想のヒントであり、創造活

と 協 働 を 活 性 化 さ せ る「 場 」

動の重要な基盤になります。

です。そこでは、多様な知識 の融合から生まれるシナジー

意欲

クリエイティブ・オフィス

が、開発力の強化やビジネス

【意欲】モチベーションの向上 同僚やライバルの行動や仕事の成果が見え る環境の中では、人々は知的好奇心や競争

モデルの変革を後押しします。

心を刺激され、新たな取り組みと達成意欲 が高まるでしょう。そのような環境が組み

加速

込まれたクリエイティブ・オフィスは、社 員に働きやすさを実感させ、やる気を高め ます。

【加速】スピードアップ オフィス空間と情報技術の効果的な活用 は、プロジェクトの課題や進捗状況などを 「見える化」し、臨機応変なコミュニケー ションと迅速な対応を促します。そして、 問題点の先出しや意思決定の迅速化が可能 になり、プロジェクトのスピードアップが 図れます。

୆͈୊ ①クリエイティブ・オフィスで多様な知識の融合 前川製作所グループ 株式会社前川設計代表取締役 松本 敏勝氏 深川で氷屋として創業した弊社は、経済成長期に冷凍技術市場に集中。

②クリエイティブ・オフィスでサービス、ブランド、スタッフ エンゲージメントを向上 トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社 取締役 古川 弘氏

現在、産業用冷凍機器のメーカー並びにシステムのエンジニアリング会

メディア企業として知名度が高い弊社であるが、実は、その売上の大

社として、様々な市場で活動しています。経営戦略として、30年前か

部分を占めるお客様は金融のプロフェッショナルである。旧オフィス

ら、 “独法”という組織で市場に密着し、未開発の市場を創造していく、

では、正確・迅速で中立な情報を、お客様に最大限活用していただく

小さな専門集団制を採ってきました。今でいうブルーオーシャン(市

為のサービスを提供するには限界があった。そこで、顧客サービスの

場にある未開発の需要に着目する)戦略です。昨今の、案件の大型化・

向上、ブランディングとスタッフエンゲージメントの強化を可能とす

複雑化・グローバル化など、情報社会の市場環境では、独法以上の総

るオフィスの実現が命題となった。新オフィスでは、カスタマーゾー

合力が必要となり、培った専門知識を融合する“一社化”への改革と

ンを20%増大、最大110名収容可能なセミナールームと3つの顧客ト

同時に、そのプラットフォームとしての本社オフィスが必要となりま

レーニングルームを用意、タイムリーなセミナーとユーザートレーニ

した。できあがったオフィスでは、高齢層から若年層への技術・ノウ

ングを開催しサービスの量と質の向上を実現している。また、そのオ

ハウの伝達、異分野の技術者間でのコミュニケーションの活性化等、

フィスが雑誌や新聞で取り上げられブランド力が向上したことに加え、

多様な知識の融合が始まりました。「人が見える事」 「人と出会う事」が、

コミュニケーションを活性化するオフィススペースの仕掛けが社員の

個々の感覚知の擦り合わせにつながるオフィスとなりました。

新しいワークスタイルを自然醸成し、お客様を積極的にオフィスに招 くという相乗効果と相成り、スタッフエンゲージメントの強化にも寄 与している。

オフィスづくりのプロセスが、理念や目標の共有を促す クリエイティブ・オフィスは、完成した環境だけでなく、それをつくるプロセス自体も重要な役割を果たします。オフィ スコンセプトの構築に経営者自身が深く関与し、さまざまな部門の社員で構成される社内チームが中心となって活動す ることによって、経営者の想いが組織内に浸透し、経営理念や事業目標を全員で共有できるようになります。クリエイ ティブ・オフィスづくりとは、単に綺麗なオフィスをつくることではありません。重要なのは、「何が正しいのか」、「ど ういう姿になりたいのか」、「何をするのか」といった意識を関係者全員が共有していくプロセスそのものなのです。そ のプロセスは「オフィスコンセプトの作成」から始まり、そこから続く一連の活動自体が、意識共有と働き方の変革を 促す企業活動の一部でもあるのです。

理念・目標

意識の共有 オフィス改革の検討作業を、部門

働き方の変革

意識の共有

働き方の変革

横断の社内チームが担うことによっ

経営の視点からオフィスコンセプ トを検討することは、組織や仕事の

て、部門を超えたネットワークが構築さ

あり方を見直すことにつながります。そ

れます。これを通じて、経営者の想いや個々の

のプロセスを通じて、社員は、さまざまな経営

現場の課題を、組織全体で共有することができ

課題を「(他人事ではない)ジブンゴト」とし

ます。また、オフィス利用者の意識調査によっ

て再認識することができます。自分の課題とし

て仕事や環境についての要望や不満が顕在化さ

て認識した社員は、新しい環境の中で、与えら

れれば、個々の職場の課題を互いに知ることも できます。クリエイティブ・オフィスづくりを

クリエイティブ・オフィス づくり

とおして生まれる組織内の有機的なつながり

れた仕事をどうこなすか(HOW)ではなく、 自ら価値を生み出すためにやるべき仕事は何か (WHAT)を主体的・能動的に考えるようにな

は、意識共有を促します。

ります。働き方の変革はそこから始まるのです。

オフィス改革のコンセプト

୆͈୊ ③クリエイティブ・オフィスによる変革 カルソニックカンセイ株式会社 専務執行役員 組織活性化本部長 樋本 治氏 当社は各自動車メーカーに対応するべく海外への展開を進め、対外的

従業員が人、物、情報が集まることの良さを体感し、競争力の高まり

にはグローバル企業となってきているが、まだ課題のあるレベルと認

を実感することになる。業務効率はもとより、あらゆる効率化を目的

識していた。今後は製品の競争力向上を主として、スピード感あるマ

とした、固定したスペース概念ではない自由なスペース概念のオフィ

ネージメントを目指し、企業としての競争力の飛躍的な向上を図る必

スで、ワーカーは、大胆、チャレンジャブルな感覚での業務遂行がで

要があった。それに伴い、新研究開発センター・本社では、グローバ

きる。幸いなことに上記目的は達成することができ、まさにコミュニ

ルヘッドクオーターとしてのハイレベルな機能と環境を兼ね備える必

ケーション意識の変革と働き方の変革につながり、グローバルヘッド

要があった。それらには、 「コミュニケーションの意識変革」と「高効

クオーターとしての役割を担うことができつつある。クリエイティブ・

率への変革」が必要である。そこで、 「働き方のあるべき姿」の検討を

オフィスをつくることにより、大胆な変革にチャレンジし、持続的な

行い、グローバルなコミュニケーション意識とクロスファンクショナ

成長を目指す、その成長を導くツールとしての役割を果たしたと実感

ル意識の2つの意識変革と、その意識変革による効率の向上が生み出

している。

す、 スピード経営の実現できるオフィスを目指した。そのオフィスでは、

CASE 1

働き方を一新し、大企業病から脱却 地方に本社を構える部品開発製造業R社では、次期社長となるS専務が自社の行く末を案じてい た。単に顧客の要求通りの製品を生産する「受注型」ではなく、高付加価値製品を提案し、新規 顧客・新規市場開拓もできるような「提案型」へと、方向性を大きく変えるべきだと考えた。創 業当時は、ひとつ屋根の下、風通しの良い職場で商品開発に取り組んでいたが、会社の成長過程 で組織が膨らんだことで、業務内容が各部門に専門化し、部門間に壁ができるという「大企業病」 に陥りつつあった。提案型のビジネスモデルに転換するには、その第一歩として、セクショナリ ズムの解消が必要である、とS専務は考えた。 「オフィス改革を起爆剤にして働き方を一新させ、 もう一度風通しのよい会社に戻せないだろうか?」S専務は、創業50周年をきっかけに、若手社 員を中心とした新社屋建設プロジェクトを立ち上げた。プロジェクトメンバーは、社内の積極的 な情報共有とコミュニケーション活性化を促す「ひとつ屋根の下」コンセプトを実現するオフィ スをつくりあげた。全部門長を1箇所に集めたことや、蜂の巣状のデスクレイアウトを採用した ことにより、部門を超えた偶発的な出会いが増え、セクショナリズムが軽減された。また、新し いオフィス環境では、研究所・工場のみならず、本社も付加価値創造を期待されていることを、 社員が感じ取り、モチベーションが向上した。従来は身なりに頓着しなかった社員も、新しいオ フィスに似合うスーツを着こなして颯爽と歩き回る姿が見られるようになった。

目標

受注型から提案型へビジネスモデルの転換 オフィスづくりのプロセス

横断的な知識の流れ

経営者

社内チーム

外部

専務

若手社員を中心としたメンバー

パートナー

オフィスづくりを 「働き方の変革」の 起爆剤に 若手メンバーへ指示

新社屋建設プロジェ クトチーム発足 働き方を白紙から 検討

オフィスで解決 セクショナリズムの解消 できる課題

執務スペース

オフィスコンセプト完成 オフィス ひとつ屋根の下オフィス コンセプト

Before

After

・情報共有の促進、コミュニケーションの活性化 ・すべての空間を緩やかにつなげ社内を一体化 ・デスク周りのギザギザの通路で偶発的な出会いを誘発 ・部門長を1箇所に集める

04年12月

プラン ニング

勉強会の開催やプロジェクト チームでの検討を通じて オフィスの仕様を決定

専務は情報共有 会議に参加 もしくはコメント

・社内全部門よりメンバー を選定し勉強会を開催 制度・情報・環境の 3 つ のプロジェクトチームで 詳細案を検討 ・チームリーダーによる情 報共有会議を実施

オフィス家具 メーカー、建設 会社の専門家に よるアドバイス

移転後のルールを記載 した運用マニュアルを 作成・配布し、新オフィ スのコンセプトを社内 に明確に伝える

建築施工 オフィス施工 運用コンサル ティング

執務スペース

05年8月

06年3月

実施

施工∼竣工 移転

運用

移転後社内意識調査の実施 表彰事業に応募、最高賞を受賞

新しい環境を使っている人が不満に感じている点を発見し、改善のた めプロジェクトチームが引き続きより良い環境づくりを継続 日本一のオフィスで働いているという意識から、社員全員のモチベー ションが向上

個人作業集中スペース

ワークショップスペース

CASE 2

多様な知と現場の声の融合で開発力の強化 自動車製造業N社では、苦境を脱したV字回復に続く継続的発展を確実なものとするため、O副 社長を中心として、 「将来モビリティに向けた新しい価値の創造」を目指す新たな拠点を構築し、 開発力強化に取り組むこととした。「技術の種をつくる」こと、そこからさらに「製品化への橋 渡しをする」ことがこの拠点の役目であり、その実現のためには、開発者たちの知識やアイデア をこれまで以上に引き出す環境をつくることが重要なテーマであった。O副社長により招集され た新拠点検討チームは、組織における知識創造の大家である大学教授からその理論を学び、自社 に合致する独自の知識創造プロセスを作成した。チームは、オフィスのユーザーとなる開発者を 中心に、総務部門、外部コンサル、ゼネコン、オフィス家具メーカー等の多様な知を取り込みな がら、独自の知識創造プロセスを実行する「場」としての新拠点オフィスの構築を進めていった。 その結果生まれた、N社ならではのインフォストリート(情報を共有させる場)や、コラボガレー ジ(実車を見ながら検討する場)などの場は、知識創造行動の誘発に有効に作用している。それ らの場で、開発者、顧客、パートナー企業、他分野の専門家などの多様な知識の融合・シナジー が生まれ、開発力強化が進んでいる。決して交通の便が良いとは言えない立地にもかかわらず、 年間2,000人を大きく超える来訪者があったことは、外部知活用のオープンイノベーション基盤 を確立している証であろう。

目標

将来モビリティに向けた新しい価値の創造 オフィスづくりのプロセス 経営者

社内チーム

外部

副社長

総務部、開発部門等

パートナー

既存の開発拠点の近 くに新拠点をつくる ことが経営会議にお いて決定

02年2月

オフィスで解決 開発力の強化 できる課題

横断的な知識の流れ

総務部門と開発部門 等が参加する新拠点 検討チームが発足 「総務に任せきりと いう発想は捨てる」

After

大学教授によ るコンサル ティング コラボガレージ

オフィスコンセプト完成 オフィス 先進技術の開発及び商品化の コンセプト 加速のできる環境構築

・快適な開発環境  ・独自の知識創造モデル実現の「場」 ・情報を共有する場 ・実車を見ながら検討する場 インフォストリート

04年1月

プラン ニング

使用者ニーズ調査 モデルオフィスの開設

ナレッジアセスメントにより研 究・先行開発のワークスタイルを 分析 あるべきワークプレイスを設計 し、300 人以上が参加したモデル オフィスで働き方を検証

企画パートナー によるアドバイス

05年3月

工房 実施

運用 07年9月

施工∼竣工 移転

運営会議開催

新オフィス完成、移転

移転後、各部門代表による運営会議 をスタート 以前のオフィスと比較し、来訪者が 増加しリクルート効果にも貢献

建築施工 オフィス施工

コラボスペース

CASE 3

2社間の壁を越え、合併・集約の効果を最大化 合併により誕生した製薬会社A社は、グローバル企業として、医療ニーズにあった高質な医薬品 を患者のもとにはやく届けることを目指している。そのためには、合併前の仕事の進め方や文化 の違いによる壁を解消し、相互の強みを活かした研究開発を行う必要がある。より良い製品をよ りはやく生み出す「グローバルレベルの研究所」を目指すには、合併に伴う組織改編や制度改革 だけではなく、専門分野を超えた研究者同士の活発なコミュニケーションから得られるアイデア・ 気づきを起こさせる環境づくりが重要である。経営トップは、こうした考えのもと、これまでに ない日本独自の研究所構築の指示を出し、プロジェクトチームを招集した。チームは、既存建物 を利用しつつ、研究施設とは別にそれらを連結する形で居室棟・厚生棟を配置し、多くの研究者 のワークステーションを一つの棟に集めるという画期的な構成のオフィスを企画、構築した。そ の結果、研究者同士のコミュニケーションが活性化され、2社間の壁も解消し、知識やアイデア の結集につながった。また、オフィス空間やICTツールを活用したコミュニケーションにより、 プロジェクトの課題や問題が「見える化」し、プロジェクトのスピードアップが可能となった。 合併・集約の効果が最大限活かされる環境が整ったと見ることができるだろう。

目標

医療ニーズにあった高質な医薬品をはやく患者さんへ届ける オフィスづくりのプロセス

04年9月

オフィスで解決 合併・集約の効果を最大化 できる課題

1. グローバルレベルの研究所 ∼コミュニケーションを創発する躍動感に満ちた曲 線的デザイン、光あふれる快適な空間∼

オフィス コンセプト

2. 研究施設群全体がひとつとな り機能する創造的・斬新な研 究所 3. 常に最先端の研究開発に迅速 に対応できるフレキシブルな 研究室

横断的な知識の流れ

経営者

社内チーム

外部

代表取締役社長 研究本部長

新オフィスを検討する専門のプロジェクトチーム

パートナー

研究所の再構築を検討 国内外研究所へ調査 団を派遣 プロジェクトチーム 設置を指示 既存建物の有効利用 が前提

Before

オフィス改革プロジェ クトチームが発足

執務スペース

After

オフィスコンセプト完成 ・研究施設と居室棟・厚生棟を連結 ・研究者のワークステーションを一つの棟に集める ・知識やアイデアの結集につながる環境づくり 経営者の強い同 意、計画推進に 追い風

コンセプト展開のコン ペを実施

企画パートナー が協力 食堂

06年3月

プラン ニング

多数の社内関係部門からニーズを集 約・調整 詳細設計のコンペを実施

設計パートナー が協力

基本設計∼施工費用見積∼ 第三者査定∼詳細設計

運用ワーキングチームを発足、全社関 連部門と一体となり実施設計の完成度 を向上

設計 オフィス CG と 模型を作成

施工∼竣工 移転

スムーズな移転・立上げを目指し移転 チームを発足 部分使用を開始し、各オフィスから数 期に渡っての移転を計画立案、実施

建築施工 オフィス施工 運用コンサル

社内ニーズ調査、視察調査、 コンペを行い、オフィスの仕 様を固める

コラボスペース

07年3月

実施

08年10月

執務スペース

CASE 4

継続的な実践と検証によって働き方の変革へ 情報システムインテグレーターN社のY社長は、得意先を集めたイベントで宣言した。 「我が社は、 ICT一本槍の投資を推し進めるのではなく、ICTを空間やマネジメントと統合した独自のオフィ スコンセプトを構築し、自らの職場で具現化して検証し、お客様に提案します。 」すぐに設置さ れたICTソリューション(ICT-SL)推進本部の本部長は、実現に向けて羅針盤となる文献を探し、 ニューオフィス推進協議会の「クリエイティブ・オフィス・レポート」に行きあたる。これを参考 にして社内の営業・SE部門にモデルオフィスを開設し、そこで実践と検証をくりかえし、働き方の 変革を促進する環境を段階的につくり上げていった。むやみに費用をかけて全面的にオフィスを 変更するのではなく、自らのアイデアと工夫を軸にして少しずつ改善していくアプローチである。 N社では、オフィスづくりに最終ゴールを設けず、今でも継続的に評価と改善をくりかえしてい る。このオフィス改革によって、営業がお客様との調整役になって問題を解決する、従来の働き 方とは異なる働き方が可能になった。新しい働き方は、お客様を自社に招きオフィス改革を体感 して頂き、営業を含めた関係者全員で課題解決にあたる方法であり、これにより営業効率が大幅 に向上した。またオフィス改革の過程で行われた実践と検証を通じて、トップの想い・目標や職 場の問題点など、社員全員に意識が共有された。Y社長は、働き方の変革と意識の共有に有効な このオフィス改革を、営業・SE部門以外の他のフロアにも展開していくつもりである。

目標

空間・ICT・マネジメントを統合したオフィス構築の新しいビジネスモデルへ挑戦 オフィスづくりのプロセス

07年2月

オフィスで解決 空間・ICT・マネジメントを統 できる課題 合したオフィスの実践と検証

お客様との対話の場として ク リ エ イ テ ィ ブ・ オ フ ィ ス オフィス の考え方を取り入れ、空間・ コンセプト ICT・マネジメントを統合し た働き方を改革するオフィス を具現化 07年8月

横断的な知識の流れ

経営者

社内チーム

外部

社長

利用者(営業・SE部門等)を中心としたメンバー

パートナー

社長がビジネス コンセプトを宣言 “オフィス空間・ICT・ マネジメントを統合 したオフィス改革を 実践する”

Before

事業の推進役 ICT-SL 推進本部発足 本部長が「クリエイティ ブ・オフィス・レポート」 を発見 執務スペース

オフィスコンセプト完成

After

・クリエイティブ・オフィス・レポートを参考にした モデルオフィスの構築 ・知識創造行動を誘発する様々な場の構築 ICT-SL 推進本部が中心となりモデルオフィスで 働き方の改革を実験

モデルオフィスを開設 働き方の改革の実践と検証 プラン ニング

オフィス家具メーカー選定 レイアウトプラン設計 リニューアル前の社内意識 調査の実施

07年12月

営業企画トップがリーダーのプロジェクトチーム が発足し、営業効率 30%向上を目標

ワークショップスペース

SE 部門トップがリーダーのプロジェクトチーム が発足し、SE 効率 20%向上を目標 ICT-SL 推進本部とオフィス改革プロジェクト チームが中心となりコンペを実施

オフィス家具 メーカーによる 提案

リニューアル前の社内意識調査を実施 ブレストスペース 実施

くりかえしリニューアルを実 践して、検証

営業部門のリニューアルを実施・検証

オフィス施工

検証結果を反映し SE 部門のリニューアルを実施

運用 08年11月

リニューアル後の社内意識調査 の実施 オフィス委員会発足

オフィス改革後の社内意識調査を実施 ICT-SL 推進本部とオフィス改革プロジェクトチームによるオフィス委 員会が中心となり、継続的に効果測定や改善活動を実施 継続的なオフィスの改善

執務スペース

■クリエイティブ・オフィスの考え方 ●クリエイティブ・オフィスとは クリエイティブ・オフィスとは、知識創造行動を誘発する、空間・ICT※ツール・ワーカーへのはたらきかけ(3つの加 速装置)と、組織の目標とプロジェクトのゴールに向けたマネジメント(駆動力)の双方を備え、組織の創造性を最大 限に発揮するための働き方に適した「場」を指します。こうしたクリエイティブ・オフィスを実現することにより、「12 の知識創造行動」の連鎖からなる知識創造サイクルが回り、組織は目標に向けて成長・進化します。加えて、コミュニケー ションの活性化、モチベーションの向上、目標・理念の共有促進といった効果が生み出されます。クリエイティブ・オフィ スの実現がもたらすこうした効果の結果として、企業の競争力や業績の向上がもたらされると期待されます。 ※ICT:information and communication technology

クリエイティブ・オフィスの考え方は、野中郁次郎氏が提唱した組織的知識創造理論・SECIモデルの考え方をベースにしています。

12の知識創造行動

03 刺激しあう

04

見る。 見られる。 感じあう。

02

軽く話して みる。

接する。

01

アイデアを表に出す

05 ワイガヤ・ ブレスト する。 絵にする。 たとえる。

ふらふら歩く。

06

個人席 12

調べる。分析する。 編集する。蓄積する。

理解を深める。

真剣勝負の 討議をする。

実践する。 試す。

11 自分のものにする

07

10

診てもらう。 聴いてもらう。

08

まとめる

09

詳細はニューオフィス推進協議会発行のクリエイティブ・オフィス・レポート参照 http://nopa.jp/copc/index.php

作成:クリエイティブ・オフィスづくり「見える化」委員会(この資料は経済産業省の委託を受けて㈳ニューオフィス推進協議会が作成したものです。) 委員長:東京工業大学大学院准教授 妹尾 大 委員:川島 謙治・岸本 章弘・鯨井 康志・齋藤 敦子・宮本 邦俊・谷内田 孝 監修:経済産業省 協力企業:アステラス製薬株式会社・NECネッツエスアイ株式会社・カルソニックカンセイ株式会社・株式会社シグマクシス トムソン・ロイター・マーケッツ株式会社・日産自動車株式会社・株式会社前川製作所・株式会社山武・株式会社ROKI 他 <このパンフレットのお問い合わせ> 経済産業省製造産業局日用品室 〒100-8912 東京都千代田区霞ヶ関1-3-1 TEL:03-3501-1705 FAX:03-3501-6794 経済産業省ホームページ http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/consumergoods/index.html Eメールアドレス [email protected]